脱線復旧訓練会レポート(2000年9月1日実施)

 

はじめに
 2000年9月1日(金)、防災の日に愛知環状鉄道において脱線復旧訓練会が行われました。その訓練の模様を写真とともに紹介します。

 

午後1時、車両基地内の列車洗浄台横において開会式を行い、訓練会が始まりました。
 今回の訓練は末野原−永覚間において大雨により線路が土砂と倒木に覆われ、そこへ282列車が突っ込み前方二軸が脱線したという想定でおこなわれました。

 訓練は脱線して列車が停車したところから始まり、まず運転士が列車の状況を確認し、線路沿いに設置された電話(訓練なので仮設のものを使用)によりCTC指令室(これも仮設)へ報告しました。

 写真は開始直後の様子です。電車の前には倒木に見たてた枝が置かれています。

続いてけが人が3人いるということで救急車が手配され実際に豊田市消防署の救急車がサイレンを鳴らして到着し救急隊員が負傷者を救急車へ運びました。

 続いて救援列車と代行バスが手配され、その後保線作業員が到着し倒木を撤去したのち、救援列車が到着し復旧作業が開始されました。
 最初に緊縛作業と呼ばれる作業が行われました。これは電車の台車は通常車体に乗っかっているだけで固定されていないため、車体と台車をワイヤーで固定し、ジャッキで上げられるようにするものです。

 写真は緊縛作業後、ジャッキ上げ作業の準備をしている様子です。

保線作業員の方々により車両の前部に油圧ジャッキが設置されたのち、油圧駆動用のエンジンがかかりジャッキアップ作業が始まりました。
 熟練者らしい年配の作業員の指示のもと行われましたが、はじめにはエンジンをふかしてレバーを何度も動かしてもジャッキが動かないというハプニングもありました。その後装置の調整をしたのち、車体は少しずつ上昇しました。

 車体を上昇させたのに続いて横に動かす油圧ジャッキを動かして車輪を線路の上に持っていき、上下に動かすジャッキを再び動かして車体を下ろし線路に載せました。

一度脱線した車輪でそのまま線路を走行するのは危険なため、搬送台車(写真の車輪についている黄色のもの)と呼ばれるものの取り付けが行われました。
 この取り付けのため線路上に載せた車輪を再びジャッキで浮き上がらせ、作業員が搬送台車を設置し、ジャッキを下げて取り付けが完了しました。

 写真は搬送台車を取り付け終わったときの様子です。運転室後ろの扉のところではワイヤーで車体と台車を固定している様子が見えます。

搬送台車取り付けの後、ジャッキ装置を撤去し、車体と台車を固定していたワイヤーをはずしました。
 そして岡崎方より救援列車の300形2連が接近して連結し、脱線復旧した車両を移動させて訓練は終了しました。

 その後再び列車洗浄台横において閉会式が行われて脱線復旧訓練会は終了しました。

 ところどころで指示や作業がうまく行っていないところもありましたが、全体的には良かったようです。脱線列車の運転士の人が点検や報告などを大声でやっていたのが印象的でした。

※ このレポートは愛環掲示板の発言100を元に加筆訂正の上公開しています。

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