輸送力増強工事について

 

概要

 愛知環状鉄道は現在1時間に最大3本の運転までしかできず、これ以上の需要に対応するのが難しい状況です。また沿線が「あいち学術研究開発ゾーン」に位置し、大学や研究所などが多くあることにより利用者増加が見込まれることや2005年に沿線で愛知万博が開催されることなどから輸送力増強工事が行なわれることになりました。

○工事内容

 輸送力増強工事の内容は、部分複線化(中岡崎−北岡崎間、北野桝塚−三河上郷間、瀬戸市−中水野間の3ヵ所)、すれ違い設備新設(篠原駅)、岡崎駅構内専用線化、車両基地改良工事で、このほかに新型車両を導入します。これにより1時間に最大4本の運転が可能になるほか岡崎−高蔵寺間の所要時間は約62分に短縮されます。

 工事は1999年度から開始され、2004年10月にすべての工事が終了しました。

○事業費

 事業費は総額195億円でそのうち75億円を増資、55億円を国、県、沿線4市の補助金、65億円を愛知環状鉄道が市中銀行から借り入れて負担します。具体的な負担割合は以下の表の通りです。なお増資は段階的に行なわれます。

事業費総額195億円
増資 75億円 愛知県 30億円(40.0%)
岡崎市 6億6千万円(8.8%)
豊田市 14億4千万円(19.2%)
瀬戸市 6億9千万円(9.2%)
春日井市 2億1千万年(2.8%)
民間株主 計15億円
補助金 55億円 国 27億5千万円
愛知県 13億7500万円
沿線4市 計13億7500万円
借入金 65億円 市中銀行から

○その他の工事

 輸送力増強工事とは直接関係ありませんが2005年に開催される愛知万博輸送に対応するため高蔵寺駅において中央線との直通化工事を行うほか、豊田市内の2ヶ所に新駅の建設が行われました。

以下各項目の詳細と現状をまとめました。

部分複線化工事

工事区間 中岡崎−北岡崎間(1.9キロ) 北野桝塚−三河上郷間(2.0キロ) 瀬戸市−中水野間(2.8キロ)
付随工事 ・中岡崎駅岡崎方面ホーム新設
・北岡崎駅岡崎方面ホーム改修(ホーム自体は国鉄時代から存在)
・北野桝塚駅新2番線線路敷設
・三河上郷駅高蔵寺方面ホーム新設
瀬戸市駅岡崎方面ホーム新設
工事期間 複線化:1999年10月着工
中岡崎新ホーム:1999年12月〜2000年12月
複線化:1999年10月着工
三河上郷新ホーム:1999年9月〜2000年12月
複線化:工事中
瀬戸市新ホーム:2001年6月着工 完成2002年10月
現状 完成済み 完成済み 完成済み
供用開始 2001年12月23日供用開始
12月23日のレポート
2004年10月3日
工事中の様子 中岡崎駅
中岡崎−北岡崎間
北岡崎駅
北野桝塚駅
三河上郷駅
瀬戸市駅の工事状況

すれ違い設備新設

篠原駅ではすれ違いができるように新しく岡崎方面ホームが建設されました。
工事は2000年度に行なわれ、2001年12月23日に供用を開始しました。

工事中の様子についてはアン・ミョンチョルさんのページの篠原駅 すれ違い駅化工事
をご覧ください。

岡崎駅付近別線化

 現在愛環は岡崎駅から約370メートルの区間をJR東海道線上りと線路を共用しています。同区間はJRの線路であるためJR優先でダイヤが組まれていることから、これによるダイヤの制約を解消するため岡崎駅構内の別線化工事が行なわれます。
 工事はJR東海に委託して行なわれ、専用線化に必要な用地は岡崎駅東で行なわれている土地区画整理事業により確保されます。

 新しい線路は六名−岡崎間のJR東海道線上りと交差する部分から東海道線の東側に沿って建設されます。

2002年6月28日に工事を開始。2004年11月15日の始発より使用開始しました。

岡崎駅付近別線新設工事の様子

車両基地改良関連

以下は確認されている工事です。

車両基地拡張 新車導入による車両数増加に対応するため車両基地を拡張、配線変更。
車両基地から岡崎方面ホーム(1番、新2番線)に入線できるように配線改良。
2001年12月23日使用開始。
検修庫拡張 既存施設の北側に増築。
総合事務所新築 検修庫の北側に新築。2001年1月使用開始。

新型車両導入

 現在の車両ではこれ以上のスピードアップが難しいため新型車両2000系の導入が進められています。
2000系はJR東海の313系をベースにした車両で、車両デザインは2002年1月に一般から募集され、同2月下旬に最優秀作品に選ばれた東京都の方の作品を元に決められました。

車両のデザイン募集について(公式サイト 2001/12)
車両デザインの審査結果について(公式サイト 2002/3)
新型車両(2000系)導入について(公式サイト 2002/10)

2002年12月19日に4編成8両(G1、G2、G12、G14)が導入され、2003年3月14日より運行を開始しています。
2003年12月2日には2次車として5編成10両(G3、G4、G5、G6、G7)が導入されました。
2004年10月12日には3次車として3編成6両(G8、G9、G10)、2004年11月4日に3編成6両(G11、G12、G32)が輸送され、全15編成30両が揃いました。

2000系初公開(2002年11月16日in日本車両)
2000系甲種回送(2002年12月19日)
愛環開業15周年の様子(2000系試乗会 2003年1月)
2000系営業運転開始(2003年3月14日)

その他の工事

輸送力増強工事のほかに現在進められている工事について紹介します。

中央線−愛知環状鉄道直通化工事

 愛知環状鉄道は2005年に開催される2005年日本国際博覧会(愛知万博)の会場のそばを通ることから主要鉄道アクセスに位置付けられています。しかし現在高蔵寺駅においてJR中央線と愛知環状鉄道は線路がつながっていないため名古屋から直通運転できません。このため直通できるように高蔵寺駅の愛環ホーム(1番線)の線路を中央線上りに接続するとともに5・6番線から中央線をオーバークロスして愛環に入る連絡線の建設工事を行ないます。さらに高蔵寺-中水野間の複線化も行います。

 総事業費は35億円で2002年6月工事開始(当初2000年度工事開始)。2004年10月ごろ完成。直通化により万博開催時には名古屋駅から万博会場最寄の八草駅まで直通列車が走ります。

八草駅改良工事

 八草駅は2005年に行われる愛・地球博(愛知万博)の最寄駅になることから開催時には名古屋から直通列車が乗り入れることになっています。しかし開業当初の4両対応のホーム1面で多客には対応できないほか、2005年開業予定のリニモ(東部丘陵線)八草駅とは250メートルほど離れていることから改良工事が行われます。

2002年11月5日より工事開始。2004年11月完成。 

改良された万博八草駅

2003年8月30日から西側ホームが閉鎖され東側ホームを使用しています。
「八草駅」の使用ホーム変更について(公式サイト 2003/8)

また愛・地球博開催にあわせ2004年10月10日から2005年9月30日まで駅名を「万博八草」に変更します。
「八草駅」駅名変更について(公式サイト 2003/8)

新駅設置

 輸送力増強工事とは直接関係ありませんが工事に合わせ豊田市内の2ヶ所に新駅の建設が行なわれます。いずれも豊田市の請願駅で、市が建設費を全額負担します。

「新駅」の駅名決定について(公式サイト 2003/8)

駅名 設置場所 開業
愛環梅坪駅 新豊田−四郷間(豊田市梅坪町) 2005年3月1日
貝津駅 四郷−保見間(豊田市貝津町) 2005年3月1日

 貝津駅建設予定地では2001年2月から3月にかけて駅前広場造成工事か行なわれました。工事は用地造成のみで建物の建設や舗装はされていません。また駅建設とは直接関係ありませんが予定地西側の道路拡張に伴い2000年から2001年にかけて橋の架け替え工事が行なわれました。(詳しくはアン・ミョンチョルさんのページの四郷〜保見間の道路拡幅・高架橋工事をご覧ください。)

2001年11月17日初版作成 2005年2月25日最終更新

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「愛環総合庁舎」 寺田直人 E-mail t-na@aikan.info

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